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平成13年7月25日

        首相の靖国参拝の意味を探る

 「やめなさい、と言明(厳命?)しました」、、、と唐家せん外相が日本人記者に向かって言い放った。
 とうとう本音が出た。田中外相とはわざわざ日本語で話そうと申し入れていたそうだから、会談中に本当にそう言ったのだろう。それも繰り返し、繰り返し、、。
 これが命令調の日本語であることは、百も承知の日本専門家である。田中女史に対してか、あるいは日本人全体に対してか、自分が命令する立場にあると認識していることがこれではっきりした。

 ところで話はそれるが、アメリカ大統領の場合、本人がはっきりとものを言うときも、少しぼかして言うときでも、補佐官や閣僚はその意を体して「大統領の考えはこうである。だから誤解のないように。自分もその方向に最大限の努力を傾注する」と、あらゆる機会を捉えて説明しようとするのが常である。
 そのために記者会見だけでなく、「ブリーフィング」と呼ばれる背景説明会をしょっちゅう開いている。彼らにとっては、大統領に如何に信頼されているか、ということがすなわち自分自身の影響力の裏打ちであることを、知り抜いて行動しているのである。(閣僚は大臣でなく長官=セクレタリーである)

 ひるがえって、日本はどうだろうか。
 小泉首相は靖国神社参拝の意向を明確に示した。教科書問題ではそれほどはっきり言ってはいないが、外国の干渉には屈しない態度を貫いている。
 それなのに外相と与党幹事長らは首相の真意を国民や外国に説明する役割を果たさないどころか、正反対に「われわれは総理とは違う意見だ。あなたがた中・韓の抗議に応えるよう総理を説得する」と言い続けている。

 こんな変な政権はない。「抵抗勢力」は盟友のはずの田中外相であり、山崎幹事長なのだから。
 外国からすれば、これほど分裂させるのが容易な国はないだろう。いや、これほどはっきりと分裂しているのだから、言明だろうが厳命だろうが、何を言ってもダイジョウブ。言えば言い得、ワシの国内的立場にプラスになるんだからいわにゃ損そん、、。

   さて本題。小泉首相は何を考えているのだろうか。
 アメリカの閣僚、補佐官的にボスの考えを代弁してみよう。

 ワタシ(小泉)は、「戦後」を終わらせようとしているのです。もはや「戦後」も半世紀を過ぎた。21世紀にも入った。いつまでも「戦後」を引きずっていては、日本の将来が見えてこない。それが90年代の低迷の根本的原因でもある。
 引きずっている重しは、勝者によって裁かれた「東京裁判」そのものです。国民が全体として被告、犯罪者意識を持たされているうちは、戦後は終わらない。それを終わらせるにはワタシが総理大臣として靖国に参拝し、すべての戦争犯罪人を事実上名誉回復させるしかない。
 西欧の歴史を見ても、戦争や政争に敗れて汚名を着せられ,のちに何十年後、何百年後に名誉回復した例はたくさんある。中国や韓国がそれをさせまいとして躍起になるのは当然です。だからワタシも粛々と宣言したことを実行し、彼らに既成事実を突きつけるしかない。
 ブッシュ大統領だって90年代のクリントン民主党政権がやったことを敢然と否定し、21世紀のアメリカを切り開いていこうとしているじゃないか。それと軌を一にしているのですよ。わかりませんか?  どうです、読者の皆さんはわかりましたか? (01/07/25)


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