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平成16年5月3日

           日本はまず国号を名乗れ

 日本は国でない、といったら「何のこと?」と首を傾げられるのがオチだろう。しかし、本当に日本は国と名乗っていないのである。

 憲法記念日を記念して、新聞や政治家の改憲試案が盛んに発表されているが、どれも国号に触れていないのはどういうわけだろうか?

 憲法のタイトルは「日本国憲法」であり、第1条に「天皇は、日本国の象徴、、」となっているので、この国は「日本国」というらしい。しかし、外国に対しては、ただ「Japan」としか名乗っていないのだ。

 これでは地名なのか国名なのか分からない。旧憲法ではちゃんと「大日本帝国」という国号を名乗っていた。すなわち、Empire だった。

国号はその国のありようを一言で表現するものだ。共和国なら「Republic」、王制なら「Kingdom」と正面から名乗るのが普通だ。連邦制なら「Federal」と付く。

外務省のホームページには世界の独立国が191ヶ国、簡単に紹介されているが、その中で圧倒的に多いのは「Republic」である。ただの「Republic」のほかに、「Arab」とか「Islam」とか「People's」などの説明がついて、さらに詳しくその国の性格を表しているものも多い。

日本はなぜ、ただの「Japan」なのか? なぜ、誰も疑問を持たないのか?

 実は、地名をそのまま国名にして、日本のように国のありようが分からない独立国が世界に20以上ある。そのほとんどが英国の旧植民地だ。有力国ではインド、カナダ、ニュージーランドなどから、カリブ海の小国家群に至るまで、旧英国植民地は本国に遠慮して、地名だけで済ませているという感じがする。いまだに元首が英国女王という国も多い。
 なかには、わざわざ「Independent State of」ナントカと名乗りながら、元首は英女王というマンガのような国もある。

 単に「State of」ナントカというのも同じで、クウェートやカタールなど、やはり英国支配の出自が分かってしまう国号だ。つまり、国号の常識からすると、地名だけの「Japan」では、旧英国植民地なんだなという印象を与えるのである。

 旧ソ連のウクライナ、グルジア、トルクメニスタンなどの例もあるが、これらは旧ユーゴ連邦の解体された国々と同じで、国号を確定するまでに至っていないと解釈される。Mongolia、Ireland、Afghanistanなどにも、それぞれの理由があって当面は地名だけの国号になっているものと思われる。

 さてそうなると、日本はなぜ「Japan」なのか?
 スペインと比較すると、早くこの国号をちゃんとした方がいいということが分かってくる。王国で「Kingdom」と名乗っていないのはスペインだけである。その理由は、王制が断絶していた期間が長すぎて、国民の側に「Kingdom」という認識が十分に浸透していないからだと考えざるを得ない。

 日本では、敗戦によっても天皇が断絶することはなかった。新憲法でも、「日本国の象徴」と明確に位置づけられている。元首という用語が使われていなくても、元首であることは国際的に認められて今日に至っている。

 そうなると、天皇が元首の立憲君主国であることは間違いないのだから、そのことを一言で表した国号を名乗るべきである。ただの「Japan」ではいけない。

 王制ではない君主国では、Sultanate of Oman (オマーン・スルタン国)という例がある。スルタンは王より格下で首長と訳すこともあるが、国号として堂々と名乗っているのがいい。

 韓国のマスコミが、いまだに天皇を日王と格下げして書くことがあるが、こういう悪弊をやめさせるためにも、日本国のありようは王国でなく日本語で「天皇国」と名乗る方がいいだろう。日本天皇国(Ten-noh State of Japan)が正しい国号ではないだろうか。スルタンはスルタン、天皇はテンノーであって、エンペラーでもなければミカドでもない。この点は日本人自身が自覚すべきだろう。

 また東南アジアの君主国でイスラムのブルネイは、正式に「Brunei Darussalam」と称している。ダルサラームは「平和の地」というアラビア語だ。
つまり、「平和の地ブルネイ」が国号で、これもなかなかいいありようではないか。
 この例にならって、日本の国号を「日本大和国」(Great Japan of Peace and Harmony)とするのもいい。個人的には別称として採用したい。 

 Greatは余計だという人もいるだろうが、「大」がないと卑弥呼時代の「倭国」(こびとの国)と間違われる恐れがあるので、、。

 文章を書く際、まずタイトルがすんなり決まると後は楽に書ける。タイトルが決まらないと、内容もなかなかはかどらない。憲法改正草案も同じで、まず国号を決めると内容が自然と決まってくるのではないだろうか。(04/05/03)





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