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平成18年1月27日

           続・憂慮すべき韓国の夢想自大主義

 韓国民が「なんでもかんでもウリジナル(我国起源)」を信じ込むようになったのは、中年以下の世代が漢字を読めなくなったからだという見方がある。おそらく正しいと思われる。

 黄禹錫教授の虚偽論文事件を大々的に報じる韓国紙をテレビで見たが、黄の字(つまり姓)を漢字で書いたのが1紙だけ。あとは皆、一面全部がハングル文字で埋め尽くされていた。

 あくまで画面に映った範囲に限られるが、一字も漢字のないハングル新聞を読んでいる韓国民は、問題教授の姓名すら「ファンウソク」という音で「聞いて」いることになる。実際、若い世代になると、自分の名前さえ漢字で理解していないといわれ、いわんや他人の名前を漢字の「意味」で理解するという習慣は、もはや廃絶したといっていいだろう。
 
 昨年、韓国の公文書館(National Archives)にあたる国家記録院で、1948年制定の韓国憲法の原本を紛失していることが分かった。監査でさらに、52〜62年にわたる改正憲法の原本も、重要書類でない一般書類に分類されて保管されていた一方、大統領関連の重要書類として保管されていた文書の74%が、資料として価値のないクズだったことが分かった(読売、05/10/29)。

 これが実態である。いまや公務員が漢字を読めないのだ。だから歴史的文書の重要さが分からず、ウリナラ(我国)憲法の原本さえ「見えなく」なってしまうのである。

 ここで重要なのは、「読めないなら誰かに聞けばいい」。日本人ならそう考える。韓国民、なかんずく公文書館の職員でさえ、そういう習性がないらしいということがいちばんの問題である。

 歴史を自分で検証することができないだけでなく、それが歴史への関心を希薄にしているのではないだろうか。

 日本人は、大新聞の主筆が今頃になって「東条はヒトラーと同じだ」などと曰(のたま)えば、その当時の文献を誰でも探して読めて、本当かどうか検証することができる。60年前どころか、2千年も昔の漢文資料を読みあさって、邪馬台国はどこだったと熱中する古代史マニアも掃いて捨てるほどいる。

 しかし、韓国民の大多数は(おそらくノムヒョン大統領を含めて)、漢字の混じった文書を読むことができないので、自分たちの過去が分からなくなってしまった。
 それなら作ってしまえ。日本との歴史的な条約等は誰も読めない、読まない、読みたくないので、それならいっそ不平等条約だったからすべて無効だ、政府は再交渉せよ、というように飛躍する。

 戦後、韓国では日本からの独立を強調するあまり、ハングルを公用語として採用し、70年からは義務教育で漢字教育を全廃してしまった。その後、社会生活の不都合から約900字だけを教えるように是正されたが、新聞の実例に見るように実際にはほとんど使われていない。

 ハングルは15世紀半ば、李朝の4代世宗が漢字の読めない庶民のために考案させ公布したとされるが、漢字を敬う支配層の事大主義に抑え込まれ、あまり普及しなかった。それをよみがえらせたのは明治の日本人である。漢字かな(カナ)混じり日本文に似た「漢字ハングル混じり文」を考案し、朝鮮に持ち込んだ。朝鮮王国はそれを公用語(国文)として受け入れた。
 
 日本に併合された後、ハングルは国文ではなくなったものの(公用語は日本語)、準公用語として認められ、学校教育をはじめ社会生活で堂々と使われていた。朝鮮総督府はハングル教育のための辞書も編纂している。

 したがって、反日、克日の目的で漢字を追放しハングルに切り替えたのは、大いに矛盾した政策だったことになる。3年前、麻生太郎・自民党政調会長(当時)が講演で「ハングルは日本人が広めた」と言ったとたん、韓国から「何という妄言か、取り消せ」と強い抗議が寄せられた。
 韓国民が怒る「妄言」のうちでも、これは特A級の妄言ということになるだろう。無条件に全否定しないと、自己矛盾で動きがとれなくなってしまうからだ。韓国民はハングルを世界に誇れる最も優れた文字だと信じている。

 日本としては、そういう矛盾をやんわりと突くのが、うまい外交ではないだろうか。もういちど漢字を取り入れてハングル混じり文に変えていきませんか、と提案する。その漢字は、日本、中国、韓国、台湾で統一化を図ろうではありませんか。中国の漢字も、簡略化しすぎて「感字」から離れてしまったから、、。

 漢字という名称も換えて、「共通文字」と呼んだらいい。共通文字があれば、どの国民も歴史上の文献を自分で検証することが容易になる。「文献がない」「全部、秀吉が浚っていったから」と片づけて独自の「過去史」を夢想することもなくなる、、、はずだ。

 日米中の共同歴史研究よりも、また日中韓の教科書研究よりも、このほうがよほど現実的で未来志向ではないだろうか。外交には上策、中策、下策、がある。(06/01/27)


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