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国際政策コラム<よむ地球きる世界>No.121
    by 大礒正美(国際政治学者、シンクタンク大礒事務所代表)

平成21年5月24日

       反日韓国を完成した盧武鉉大統領の末期(まつご)

 5月23日早朝に自殺した前の韓国大統領は、韓国にとって最低最悪の大統領であった。日韓両国でそう認識している人は決して少なくないはずだ。

 死んだ人を鞭打たないというのが日本の文化であり、つい1年前まで隣国の大統領だった人物ならなおさらというのが普通であろう。

 しかし我が国の公人は別として、日本国民としては哀悼の意を表した上で事実は事実として確認しておくべきである。それは、この大統領が韓国民を反日の極にまでマインドコントロールした張本人だったということだ。

 一般にはその前の金大中(キムデジュン)大統領から左派政権が10年続き、北朝鮮寄りの太陽政策が推進され、反動で日米には厳しく対するという時代になったとされる。しかし実際には、日本に対して高飛車に出る政策は更にその前、文民政権初代の金泳三(キムヨンサム)大統領から公然と打ち出されていた。

 金泳三氏は日本の歴史認識を大きな問題とし、中国の江沢民国家主席との会談で、「悪ガキ(ポルジャンモリ)はしつけ直さなければならない」と焚きつけたことで知られる。おそらくマッカーサーが「日本の民主主義は12歳」と言い放った有名なフレーズを、うろ覚えのまま悪用したのだろうと思われる(日本人は、ではない、為念)。

 この時代から数えても三代15年間、韓国の指導者は自国民に対し、日本を子供扱いし、歴史を歪曲する日本右翼に抗議するのが愛国だと教え、加速度的に何もかも日本が悪くて自国は正しく、現在の諸問題の根源はすべて過去の日本にあると責任転嫁してきた。

 自殺した盧武鉉氏は、そうした日本敵視の集大成をやってのけた大統領である。

 当コラムで指摘したことがあるが、外国での演説で「日本の存在自体が世界の不幸だ」とまで極言し、一国の指導者としての資質と彼を大統領に当選させた韓国民のレベルを疑わせるに至った。

 竹島を不法占領していながら逆に国民感情を煽り続け、はては日本海の名称まで不法だとして世界に抗議を繰り広げた。ネットで常時「日本海 Sea of Japan」を検索して「間違いだから東海に直せ」と申し入れる政府機関を創設した。

 そして究極の愚行は、歴史的に日本と協力した過去の政治家を調べ上げ、その子孫から資産を没収するという法律を制定したことである。これはもう法治国家とは言えず、前近代への逆戻りというしかない。民主主義かどうかという以前のレベルである。

 しかし韓国では、ほとんどの大統領が退任後に横領などの罪に問われていることからして、韓国独特の「反近代」的な土壌があるのだと考えざるを得ない。

 また同氏は大学進学せずに弁護士となるなど教育が偏っており、漢字や英語で多面的な政治、歴史などを学んだことがないのではないかと疑われる。

 同氏は在任中に妻が600万ドルの資金提供を受け、その一部が子息のアメリカ留学資金に充てられたのではないかという容疑をかけられていた。
 これは金大中大統領が5億ドルを私的に調達して北の独裁者に贈り、その見返りに首脳会談をしてもらったのに比べると、金額が小さすぎるという感じが否めない。

 盧武鉉大統領も、別の目的でもっと多額の裏金を必要としたのではないだろうか。同氏の死で捜査が終了し、すべてが闇に葬られるとしたら、いちばんの被害者は韓国の国民ということではないだろうか。

 当コラムでは3年前、「反省しない国民性」を批判した(「憂慮すべき韓国の夢想自大主義」06/01/14)。左派教育が浸透した韓国で、前大統領哀悼の盛り上がりが中道の李明博(イミョンバク)現大統領に対してどういう方向を要求することになるのか、日本もアメリカも無関心ではいられない。

 マッカーサーが今日の韓国を見たら、何が何歳と評するだろうか?
(おおいそ・まさよし 09/05/24)


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