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国際政策コラム<よむ地球きる世界>No.175
    by 大礒正美(国際政治学者、シンクタンク大礒事務所代表)

平成25年10月28日

          中韓に蝕まれる日本の知的基盤

 在日中国人の朱建栄・東洋学園大学教授が中国で姿を消してから3ヵ月を超えた。公安当局が拘束(逮捕?)したことはほぼ確実といわれる。

 この話を聞いて、日本の大学が危うい状態に陥っていると再認識した人は、よほどの専門家である。
 同教授は中国政府の忠実な代弁者としてよく知られており、そういう人物がスパイ容疑で捕まるということは、日本に住む中国人全員、なかでも留学生と研究者のすべてが震え上がるという仕掛けなのである。

 同じような中国政府による自国民支配の手口を明らかにしておこう。本邦初公開である。

 数年前、静岡県内の国立大と公立大で、同時並行してこういう事態が生じた。
 1年生の中国人留学生たちが教員側に対し、「日本語が不自由で3年後に卒業論文を書けるほどになるという自信がない。ついては過去の中国人留学生の卒論を読ませてもらえば自信がつくと思う。彼らの卒論を集めて渡してほしい」と要求したのである。

 いくら留学生を大事にする大学でも、それは教職員の時間とエネルギーを使わせるから難しいと頭を抱えた。すると中国人側は「全部自分たちでやります。コピーも、、」と答えた。

 この件は偶然、2つの大学で同じことが起きていることが分かったため、世情にうとい大学教員たちもようやく、「これは過去の中国人留学生の思想調査だな」と気づくに至った。

 れっきとした国公立大に、中国政府の公安部門が工作員留学生を送り込んできた実例である。
 決して珍しいことではない。留学生から直に聞いたことだが、全員が留学に際して中国政府か在日中国大使館に誓約書を差し出しているという。

 日本政府は中曽根政権のときに「留学生10万人計画」を立てたが、現在は目標を超えて14万人にまで達したと喜んでいる。が、このうち中国人が8万6千人と6割を占めている。韓国人は約2万人だ。

 この中国人たちがすべて中国政府によって統制されているのである。もともと留学生は家族を人質に取られているようなものだから、独裁政権の手先になるしかない立場だ。

 思い出してほしい。2008年の北京オリンピックの時、聖火リレーを守れという指令を受けて、留学生を始めとする在日中国人が大挙して沿道を埋め尽くした。警官隊は彼らの横暴を許し、日本でありながら日本国民を沿道から遠ざけた。

 話を朱建栄教授に戻すと、日本のすべての大学に中国人留学生が入り込んでいるように、多くの大学に中国人が正規雇用されている。語学教員も含めると軽く2千5百人を超えるだろう。

 朱教授はテレビ出演も多かったが、露骨に中国の立場を擁護するのが常だった。尖閣沖の中国漁船体当たり事件の時、同教授はよほど危機感を覚えたとみえて、「漁船は漁網を引いたまま転回したので操舵を誤ったのだ」と、思わず吹き出すような弁護をしていたのを思い出す。

 改めて問題提起すべきだろう。なぜこんな「学者」を日本の大学は(国公私立にかかわらず)教壇に立たせるのだろうか。学生は何を教えられて社会に出るのだろうか。

 ほかにも、日本語で文章を発表するとき、必ず「偽満州国」と書いて笑われる某公立大の中国人教授がいたり、テレビ討論などを見ても中国人学者は必ず中国政府と同じことしか言わない。そういうように統制を受けているのである。
 来日・在日韓国人の大学人やメディア人も全く同じである。

 日本は中韓国籍の彼ら教員と留学生に、年間少なくとも数百億円の税金を提供して、おもてなししている(国費留学生は授業料・渡航費タダ、月12万5千円〜15万5千円支給)。

 考えてみれば、彼らも、例えばアメリカの大学でそういう反米言動をとったらどうなるか、想像はつくはずだ。教員は直ちにクビ、学生は退学処分になることは間違いない。

 安倍政権はようやく米国モデルの「国家安全保障会議」と「国家安全保障局」の新設に本気を出したようだが、文部科学省はカヤの外だ。
 お人好しとかカネの問題ではなく、この大学浸食は日本の死活的重要問題だと認識してもらいたい。
(おおいそ・まさよし 2013/10/28)


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