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国際政策コラム<よむ地球きる世界>No224
    by 大礒正美(国際政治学者、シンクタンク大礒事務所代表)

平成29年11月28日

         韓国晩餐会に4つの反日仕掛け

 韓国三大紙のひとつ「中央日報」は決して左派新聞ではないが、日本に対しては親北朝鮮の左派紙と変わらない書き方をする。
 なんでもない経済記事でさえ、「死にたいほど憎い日本の真似はしたくない」などと平気で書く。

 その中央日報が国際部次長の署名入りで、「日本の破廉恥を非難、、」というコラムを載せている(日本語版11/24)。
 何のことかと思ったら、トランプ米大統領の歓迎晩餐会に元慰安婦を呼んだことと、メニューに「独島」(日本の竹島)で獲れたエビと明記したことに対して、日本政府が抗議したことを「破廉恥」だと非難しているのである。

 全く逆ではないかと日本人はみな呆れるだろうが、これが韓国のメディアであり、国民のレベルなのである。

 韓国政府は、日本の抗議に対して、「日本とバランスをとった」と不可解なコメントを発表した。
 この意味はどうやら、日本が北朝鮮による拉致の被害者家族(1人は本人)をトランプに会わせて救出を訴えたので、韓国も慰安婦をトランプに会わせるのが公平だという意味だったようだ。やはり理解不能だ。

 元慰安婦だという活動家の老女は、いきなり巨漢トランプの左肩に右腕を伸ばし、相手がイヤでも両腕でハグしなければならないようにして、顔は左に向けて文在寅大統領とカメラマンに見得を切った。

 国賓トランプ大統領がどんなに迷惑を感じたか、そんなことは文大統領と韓国側は全く考慮しないという文化なのであろう。

 この件で米政府がどう不快感を伝えたかは不明だが、「独島エビ」の呼称については、後日、韓国側に公式記録から削除させたと報道されている。
 これは、米政府が日本の領有権と「竹島」呼称を公式に認めているからである。

 日本ではもっぱらこの2つの問題に関心が集中したが、実は晩餐会メニューにはもう2つの反日仕掛けがあって、計4つもの「破廉恥」が韓国側にあるという事実を明らかにしておかなければならない。

 米欧のメディアがいちばん関心を示したのは慰安婦やエビのことではなく、韓牛カルビの味付けソースに、「360年物の種しょうゆ」が入っているという説明だった。

 「えっ アメリカの歴史より古いのか!」と、聞けば誰でも驚くのは当然だ。

 しかし、これが全くのフィクション、大ウソなのである。

 「何でも韓国起源」、すなわち寿司も桜も、日本刀も武士も武士道も、何でもかんでも韓国が日本に伝えてやったか、日本が盗んだものだという「ウリジナル(ウリナラ・オリジナル)」病のひとつが、「醤油の起源は韓国」だという主張である。

 約9年前に韓国の調味料業者が「醤油は日本起源だという世界の誤解を解く活動を始める」と宣言し、それを中央日報が記事にして話題になった。

 国賓晩餐会メニューに「360年物の醤油」の存在が明記されたということは、この業者の宣伝が事実として公認されたことを意味する。

 日本の醤油は鎌倉時代に生まれた「たまり醤油」が、江戸時代初期に現在の醸造醤油に発展したもので、仮に朝鮮半島に360年前からあったとしても、日本のほうがはるかに古い。

 それに、「種しょうゆ」といっても、つぎ足しつぎ足しして今日まであったとしても、そんな古い醤油が一滴でも残っているはずはなかろう。ブランデーなど蒸留酒の何十年古酒だって怪しいものだ。
 
 つまり、米欧のメディアを恐れ入らせた「種しょうゆ」は、二重の意味でフィクションだと言わざるを得ない。

 最後の4つめは、メニューに添えられた「韓国の中小企業が製造した清酒」(読売11/8)である。

 これも「ウリジナル」の一環であって、和食が世界に広まるにつれて、サケ(=日本酒)も日本の輸出品として世界に進出しているのが気に入らない。
 韓国にもサケがあって、日本酒はそのパクリだという説が何度も繰り返されている。

 日本酒はもとは濁り酒だったものが、船で運ばれる途中で変化し、自然に清酒が生まれたと言われている。仮に朝鮮半島に清酒があったとしても、それが日本に伝わったわけではない。
 
 韓国政府の悪意にはまだ先がある。

 昨年末のプーチン来日の際の歓迎宴で、安倍首相はワイン3種類、ウオッカ2種類、それに国産最高級ウイスキーと地元山口の純米吟醸酒でもてなし、さらに少量生産で知られる山口の銘酒「獺祭」(だっさい)を持たせた。

 今回は、トランプ大統領が禁酒していることを知っているので、日本では晩餐会で乾杯用の赤白ワインと復興中の福島産の清酒を添えるだけにした。

 韓国はそれを知っていて、あえて「サケは韓国ですよ」と言いたいために、「中小企業が製造した」、すなわち少量生産の蔵元の銘酒ですと明記した上、なんと「公式晩餐酒」としてトランプ大統領に押しつけたのである。

 ここまでやると実際、韓国内で「日本の鼻を明かした」と報道された通り、主賓のトランプ大統領は反日扇動のダシに使われただけというように映る。

 日本のおもてなし、配慮、忖度の文化と全く正反対の国、民族であることが、これほどよく分かる事例は珍しい。

 安倍首相も2〜3年前から、韓国に関して、「同じ価値観を共有する」という従来の決まり文句を言わなくなった。

 現在の韓国民のほとんど百パーセントは、彼らの言う「独島」はもともと韓国領で、それを日本が占領して「竹島」としたのを、戦後の韓国が実力で取り返したのだと信じて疑わない。

 また何割かの韓国民は、長崎県の対馬も同様に、もともと韓国領だったと信じている。対馬に近い韓国の地方議会では、2005年と12年にそういう決議をして中央政府の対応を促している。

 完全な虚構、フィクション、最近ではフェイクというが、これほど歴史全体を捏造した上に成り立っている韓国が、核を持つ統一朝鮮国家に変身した暁にはどういう世界が出現するだろうか。

 真っ先に「対馬を返せ」と脅迫してくるに違いない。同時に北への莫大な賠償金を要求し、ついでに日本人慰安婦を奴隷として差し出せというかもしれない。
 
 そういう民族を相手にしているのだという事実を、肝に銘じておかなければならない。(おおいそ・まさよし 2017/11/28)


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