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平成19年3月27日

      首相訪米の最難関・ホワイトハウス記者会見

 ちょうど半年前、安倍政権発足に合わせて「知ってますか、逆転するナチスと日本の評価」を掲載した。そこに指摘した危惧が最悪の形で実現しつつある。

 米議会下院外交委に再提出されたいわゆる「慰安婦決議案」が、あたかも正義そのものであるかのようにフレームアップされ、安倍訪米に向けて議会とマスコミが手ぐすね引いて待ちかまえる態勢ができあがった。

 日本側の対応は全く目を覆いたくなるような拙劣さで現在に至っている。このままでは日米首脳会談のあと、大統領と首相が並んで記者会見するときの修羅場が今からありありと浮かんでくる。記者たちは安倍首相に対して容赦なく慰安婦問題だけについて質問攻めにするにちがいない。

 アメリカのジャーナリストは、日本と違って、会談の内容や両国間の重要問題、その合意や異見について質問するべきだとは考えないのが普通だ。いきなり大統領にゲストとは何の関係もない内政問題を質すなど日常茶飯事である。
 したがって、4月下旬に予定されている安倍訪米の際は、会談の内容など誰も関心を持たず、慰安婦問題を両首脳にぶつけ、両者の認識の違いを浮き彫りにしようと誰もが画策するだろう。

 それが分かってくればくるほど、訪米計画自体が見直される可能性が出てくるだろう。なぜ、もっと早くに訪米しておかなかったのか、、。

 就任後、間をおかずに訪米し、ブッシュ大統領と親交を結ぶと同時に議会を訪問し、マスメディアにも好感を与えていたら、あの決議案は過去7回と同様に知る人ぞ知るだけの存在だったであろう。

 日本の歴代総理は慣例として、最初の訪問国には同盟国であるアメリカを選んでいる。安倍新首相はなぜか2週間もしない内に中国・韓国を訪問した。田中角栄首相も就任2ヵ月後に中国を訪れ国交正常化を成し遂げたが、その直前にちゃんとアメリカを訪問して仁義を切っている。それが同盟国としての常識だろう。
 安倍さんはどういうわけか年明け早々、アメリカに行かずにヨーロッパを訪問し、仏独などの首脳と会談した。この枢軸はイラク戦争など多くの点でブッシュ大統領と角突き合っている相手である。なぜ、こんなにアメリカを苛立たせる必要があるのだろうか?

 さらに、安倍政権の内部や自民党幹部の中から「核武装」を論じる意欲を示す声が出てきた。

 これでは、安倍首相ないし安倍政権が「反米国家主義」なのではないかという疑いが、米首脳部に生じたとしても不思議はないだろう。

 この半年間、いや安倍総理誕生の前から、外交指南役として谷内外務次官の存在が指摘されている。意表を突いた中国・韓国訪問も谷内次官のお膳立てだと報道された。それならば、対米関係の惨憺たる有様はどう理解したらいいのだろうか。

 シーファー駐日大使は報道陣に対し、公然と、慰安婦とは日本兵にレイプされ性奴隷にされた犠牲者だと言明した。そして河野談話から後退することがあれば「日米関係に破壊的だ」と、まるで敵対国のような警告まで独断で発している。
 北朝鮮による拉致問題で、新潟まで視察に出向いて涙を流したあの大使が、ここまで容易に反日洗脳工作に染まっている事実を、安倍首相は十分理解しているのかどうか実に心許ない。

 国会中継などを見ていると、安倍首相は何ごとも「丁寧に説明すれば分かってもらえる」と考えているようだ。しかし実際にはそれが裏目に出て、長々しい答弁が人気を落とす要因にもなっている。広報担当補佐官の責任であろう。

 ホワイトハウス記者会見で首相はただ一言、次の事実を繰り返し答弁するべきである。余計なことを言わずに、、。

 「ほんの数年前、旧ユーゴの内戦で一方が敵方の女性をレイプ収容所に集め、ナチスもやらなかった民族絶滅方法を実行しているというウソ情報が作られた。アメリカのメディアもそれを信じた時期があった。しかし、それは完全な捏造だったので、今では誰も信じていない。そのことを思い出していただきたい。」
 
 これならブッシュ大統領も同調できるだろう。(07/03/27)


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